無為に

病院のトイレを初めて使用したのだが、 ちょうど不快すぎないきれいさを湛えていた。濡れた手を突っ込んだら騒音とともに風が出る機械も稼働していた。自転車に乗りながら、大声で歌っている人がいた。ある程度の声帯の天井にリーチするくらいのボリュームで何かを歌っていた。Shazamをする余地は無かった。鮮魚コーナーのギラつきが好きだ。売り場の向こう側に魚を捌いている人がいて、年中にぎやかな雰囲気なのも良い。黒猫を散歩させている人がいた。背中のリュックには、もう一匹ねこが入っているようだった。犬のそれに比べると、かなり歩調が遅かった。The Dismemberment Plan『Change』をCDで昼間から聴いていたのだが、喜びを伴う体験だった。音楽を聴くとはこういうことなんだ、と思った。ライナーノーツにはドラムンベースTalking Headsからの影響があることが記されており、なんとなく納得できた。

聴くたびに、ハウスにめざめてしまいそうになる。「読みごたえのあるWikipediaの記事を教えてください」「地方病 (日本住血吸虫症)の記事おすすめです」というやり取りは、もうやり尽くしたことだ。Colfax AbbeyがSpotifyで聴けるようになっている!。知る人ぞ知るアメリカのシューゲイズバンドだが、For Tracy Hydeの菅梓氏がずっと推していて気になっていたバンド。今までもApple Musicでは入手可能だったようだが、ついにSpotifyにもやってきた。こういう時にはサブスクの重要性を感じる。トップウォント盤を正当な形で聴けることは、これ以上ない嬉しさだ。聴いた。唯一のフルレングス『Drop』はギターのシューゲイザー、それに続くEP『Penetrate』はシューゲイザーを通り越したアンビエントだった。とくに後者は、広い音の空間にギターっぽい音色が放り込んであり、初期のSeefeelを思い出した。Seefeelの、ビートとギターノイズのシナジーによる高揚感みたいなものには及ばない感も否めないが。Sweet Jesusにはまっている。"Honey Loving Honey"と"Sisterfy"という曲がこないだ購入したコンピレーションに収録されているのだが、頭抜けて良い。1980年代後半のギターポップバンドにMercury RevThe Flaming Lipsのギターノイズを与えたような、そういう妙なアンバランスさがある。基本的に同じパートの繰り返しなのだが、ブレイクなどもなく持続的にけたたましいので、高揚感が曲じゅうに保たれる。こんなに思い切りのよいノイズポップ/シューゲイザーは中々ないと思う。