思い出してやるな

褒美を与えられるほどのことはしていないのにCalbee『ポテトチップス ごほうびチ~ズ味』を食べて、ひとり虚しくなった。食べ物のネーミングに「ごほうび」みたいな概念的な言葉を入れると、それを摂取したときに味覚とは別の軸の感慨が湧くのでやめてくれ。キッズチャンネルの類は、これからずっと家庭の中で大切にされるであろうホームビデオをYouTubeなどで全世界に公開しているので、すごい。自分たちの思い出を世界の市民と共有している。令和とかに生まれていたら小学校受験とかをやらされていたかもしれないので、平成に生まれて助かった。多くのキッズチャンネルの類は、後で子供が成長しきったときにキッズチャンネルにまつわる記憶と記録について始末しなければならないという責務を抱えていることに無自覚だ。その日じゅうの体臭を規定してくる入浴剤ってある。

Butterflies Don't Go Away

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Majesty Crushのリイシュー情報が出ている。1994年の『San Muscles』と1996年の『P.S. I LOVE YOU』までリイシューして欲しかった感じはあるが。この内容ならばジャケは『Love 15』のカバーアートのままでも良かったのでは、などとも思う。文句ばかり出てしまっているな。Numeroは本当に丁寧な仕事をすると思っているのだが、こういうフィジカル盤をリリースするときに手心加えまっせ、といった感じでオリジナルのアートワークを改変する、みたいなこともする。半年くらい前に歯医者の人に言われた、「歯磨きは優しく手に力を入れずに」という言葉を忘れていた。昭和などの昔に比べて今は色々と厳しくて生きづらくなった、などと言う人がいるが、それは社会全体がいま変化する時期に差し掛かっているからなのだと気がついた。キモい言い方をするならば、社会そのものの思春期みたいなものなのだと思う。これから、コンプラがどうだ、みたいな現在の段階を超えて、もっと高次なステージで、より高水準の文化、文明が築き上げられるのだろうと信じるしかない。こんなこと、なんかの哲学者も言っていた気がする。レジを打つ店員に袋が不要であることを伝えるときに「袋いらないです、バッグに入れるので」と、べつに店員に伝える必要のない「バッグに入れる」という理由の部分を言ってしまう、みたいな、知らない人に伝える必要のない私情を伝えてしまう、みたいな瞬間ってある。コミュニケーションへの飢えが潜在的に現れてしまっている瞬間なのだと思う。それを知らない人にしてしまう気恥ずかしさときたら。