疲れた振り

わたしのスマートフォンの地図アプリは、ブックオフと検索窓に打ち込むたび、決まって「BOOKOFF 雪が谷大塚店」を表示してくる。どこにいてもだ。べつにこの店舗の近くに住んでいたとかでもなく、というかこの店舗には訪れたことすらない。何故なのか理解に苦しむ。分からないが、めちゃめちゃな陰謀とかが隠されていたらどうしよう。Starflyer 59のCDは高すぎる。せめて都心の学校なんかは、あのナンセンスな朝の満員電車に乗り込まなければならない人の人数を減らすためにも、もっと遅い時間から始動するべきではないか、と思う。あれは本当に意味が無いから。みんなが同じ時間に行動してみんな一日の初めから苦しんで、その非効率性には腹が立つ。わたしのよく利用する二つの公衆トイレはそれぞれから500メートルくらい離れた場所にあるのだが、よく見ると貼ってある注意書きの文言が異なっていたり、片方には音姫の機能が無かったりと、管轄区域は同じはずなのに微妙な差異があって、これが何から起因したものなのか気になっている。「目薬をさす」の「さす」は「点す」と書けるらしい。そんな馬鹿な。高架下ならぬ、高架上の丸亀製麺に行った。驚くことに、座っている椅子がふるえるのだ。まあまあ大きいブックオフのCDを隅々まで見て立ちくらみ。退店して、何時だろうと思って時計を見たらまだ12時半とかで、意外と時間が過ぎていないことを少し残念がった。その後ハードオフ駿河屋に立ち寄るが収穫はなし。ハードオフの店内BGMは今のわたしの不安定な心を落ち着かせるのにちょうど良くて、店から漏れるその音に後ろ髪を引かれながら、でもめぼしいものがないため退店した。レコファンに行ったら明らかにAztec Cameraの『High Land, Hard Rain』が流れていて、イヤホンを外した。最近は"Walk out to Winter"にばかり目がいって長いあいだ意識の外にあったが、"Pillar to Post"も良い曲だ。レコファンは相場に忠実というか、CDやレコードの極端な値崩れと高騰を避けている感じのプライシングで、好感がもてる。一人の出品者が値を釣り上げて、以降その価格帯が相場になる、といった馬鹿げたトレンド(嘘みたいだがDiscogsなどを眺めているとけっこう起きている、ハロー!プロジェクトのCD『プッチベスト 16』はその最たる例と言える)に抵抗するような保守性を感じた。ここと比べるとディスクユニオンのプライシング感はもっと顧客に向いているのかもしれない。駅までの道を間違えて少し遠回りしてしまったのだが、その道中で、人目をはばからず三脚のスマホの前でがむしゃらに踊る外国人が見れた。今日は訳もわからずそこまで欲しくないCDに数千円を使って、するべきことをせず、ちょっとひどかった。もう少し誠実さに寄った方がバランスがとれる。電車と電車の乗り換えに時間的な余裕があったため、平日の十六時を駅で生きる人たちを眺めながら、セブンティーンアイスの「生チョコティラミス」みたいな味のやつを食べた。食べ終わってからその駅のベンチで少しぼうっとしてしまったためけっきょく時間的にひっ迫したのだが、なんとか電車には間に合った。駅のホームにたどり着いてから食べておけばよかったものを、なぜか改札に入る前の、無銭でも入ることのできるエリアにあるベンチで悠長にアイスを食べてしまって、それが少しいけなかった。ダーツをちゃんとしたルールのもとやったことがない。いつかやりたい。今わたしが寝そべっている、この部屋のベッド、このベッドがあるまさにこの場所は、大昔はどのような場所だったのだろうか、と思う。農民が藁の家で質素な暮らしを送っていたかもしれない。毎週末に句会を開く場所だったかもしれない。二つとも貧相な「昔の日本人」観だなあ。いずれにせよ、この土地を耕し利活用してきた人たちは、かなりありがたい。その場所に今わたしは寝れているから。だいぶ長い間この場所をわたし一人が占領していると思うと、そんなつもりではないながらいつの間にか公衆トイレでの滞在時間が長くなりすぎてしまった時のような、落ち着かない感覚が持続する。高尾山はファスト山だ。