スピルト

真夜中に、閉め忘れていたシャッターをゆっくりと閉めた。"doubtless"が副詞としても扱えるのは気持ちが悪い。長すぎる単語は、ある程度の反復をしていくと脳への定着度が高い。墾田永年私財法、みたいなやつ。会社員みたいな人が濃いカルピスを手に持っていた。わたしのほうにスマートフォンを向けてくる人がいた。不審だったので不審者と一蹴しておこうと思う。厄介ごとになるのを避けるためヤバそうな人のほうは見ない、という矜持を持って生きているつもりではいるが、けっきょくその人のほうを見てしまった。駅のエスカレーターの清掃員の給料がどのくらいなのか、調べていた。よく分からなかった。手すりもステップも動いているから、とくに手を動かさなくても清掃ができている様がスタイリッシュだとは思う。自転車を乗っていたら、肩のあたりにテントウムシが付着した。虫を手で払おうとすると殺生してしまうことが多い、という今までの学びから、付けていたマスクを外してそれで払った。かなり賢かった。タクシーや素人の車に乗せてもらって車内でドライバーに話を聞く、みたいなシーンは今のテレビ番組ではよくあるが、そのうち見かけなくなる気もする。もしわたしが特定の方言の話者だったら、標準語に迎合すべきか、それとも寧ろマイノリティ側の方言を貫いて生きるか、それに頭を悩ませそうなので、いわゆる「標準語」話者でしかなくて良かった。