喃語の従業員

カーディーラーの建物を囲むガラスの外壁には、「新型 アルファード誕生」みたいな文字のステッカーが貼られていることが多いが、かなり効率が悪くて面白い。何か伝統があるのだろうか。ずっとその店舗にそれが貼ってあるのなら良いが、大概は「新型○○」や「○○新発売」などの一時的情報が掲示してある。もっと変な場合だと、建物の支柱にその文字が被っているときがある。言葉だと伝わりづらいディテールだな。平面のガラスにペタッとステッカーを貼り付けるだけならまだ簡単だが、わざわざそれを支柱(平面であるガラスから屹立しているため、正面からきれいにステッカーの文字を見せるにはステッカーを切って貼る必要がある)の上に被せている。ふつうに紙とかに印刷したものを貼るのでは駄目だろうか。しかも紙ならヴィジュアルも一緒に印刷できる。それだと箔が付かないのか。いずれにせよ、「新型 アルファード誕生」の文字を切り貼りすることが仕事の一部となっている従業員が存在することは確かだ。スローカロリープロジェクト「塩タブレット レモン味」うますぎるよ。スローカロリープロジェクトってなんだよ。これだけサラリーマンが居れば、日本のどこかには「いつも乗る電車のどの号車がいちばん空いている傾向にあるか」などを検証して、戦術的に通勤をしている人も一人くらい居るのではないか。乗客数を統計に落としこむ。どの号車に乗ればクリーンな乗り換えが可能か、また歩数が少なくて済むのか、などのことを毎朝やる。毎朝が研究だ、実験だ、と口走り、こちらに背を向けて改札のほうへ向かっていく。姿が見えなくなるまで見届け、わたしは来たほうへ戻る。

 

【本日の1枚】Tatuki Seksu『Hanazawa EP』(2011)

思い切りが良い。シューゲイザーはアニメ文化みたいなものとの親和性が異様に高い。わたしは原曲を知らぬままこれらの曲を聴いているが、いつか原曲を聴くときが楽しみな気持ちでいる。魂のこもったギターノイズ。