お肉のお腹

味噌汁には油が入っていなくてすごいなあ、と洗い物をしながら思った。猫はその場で鳴る音には反応するのだが、テレビなどの機器から流れる音にはあまり反応しない。人間が知覚できない領域で、この二つを隔てるものがあるのかもしれない。そう思うと、芸能人なんかの大半は画面越しでしか知覚したことがないことがおそろしく思えてくる。現実よりだいぶダウンスケールな画面越しでしか知覚したことのないアイドルを応援しているのか、といった怖さ、猫が部屋の角を熱心に見つめているような不気味さがある。ベランダにコオロギかゴキブリと思われる虫のきれいな死骸があるのだが、今の時期にきれいに死骸を残す死に方って老衰以外に思いつかない。ゴキブリの中にも、27クラブに入るべくして生まれてたんまりと遊んで早死にするような個体とか、長く細く、みたいなフィロソフィーを掲げて丁寧に生きる個体とか、いるのだろう。のび太とカツオは、頭が良いと思う。Starflyer 59の"Happy Days"という曲を目当てにTooth & Nail RecordsのCD五枚組ボックスセットを買ってしまったのだが、サブスクで"Happy Days Are Here Again"として聴けるものとまったく同じバージョンだった。ここ数日はStarflyer 59、およびTooth & Nailにかなり熱を感じていて、いろいろと調べている。『Leave Here a Stranger』はすでに入手した。このレーベルからは、Starflyer以外にもMorella's ForestやLuxury、Velour 100などのめぼしいバンドがCDを出していて、でも、そのどれもがレアで高い。なぜか流通量が少ないらしく、平均的に入手困難なレーベルだ。今日は秋の始まりみたいな気候をしていて気分が良い。わたしは中学校では図書委員会に所属していて、その活動の一環として、近くの小学校へ行って本や紙芝居の読み聞かせをする、という定期的な催しがあったのだが、「マサチューセッツ」という単語を含むパートを読まなければいけないことになって、なんとか噛まずにやり切ったことを覚えている。ある程度の人数の小学生と、時には教師、時には参観している保護者の前で、あれはすごかった。所詮は小学生に向けた中学生による読み聞かせ、声に出す読み合わせなども特にせずにぶっつけ本番でやっていて、四人くらいでひとチームを作って1ページずつ代わりばんこで読む、といったルールの中わたしに向けられた、「マサチューセッツ」という刃だった。