面白め

イヤホンでCranesの『Future Songs』を聴いていて、それが案外、かなり良い。初期のCranesよりも静謐で、サウンドデザインが複雑で、好みな作品かもしれない。エレクトロ作品をイヤホンやヘッドホンで聴くというのは、音楽家のしたかった出力を最大限オリジナルに聴ける方法だ。服屋でもバッグメーカーでも、ブランドという概念には余計な力が良くも悪くも作用しているように見えて、たとえば今からヒラキが上質な靴を相応の値段で売ろうが、反対にディオールが廉価コスメを節操なく店頭に並べようが、後者を身につけている人のほうが箔が付くのであり、そういう固定された力向きがブランドというものにはずっと付きまとっている。Spotifyでアルバムを聴いていたら、その途中で勝手にアルバムを切り上げて、勝手にSpotifyのおすすめ曲を流される、ということがさいきん多い気がする。床はぜんぶ汚い、といった西洋的価値観のもと生活を営めば、床に寝転がって力尽きることも、片付けるにも引っ張り出すにもしっくりこない物を床に置くことも無くなるのではないか。「ネタ」という言葉は「種」を業界用語ナイズしたもの、という文章を見かけて、今までそれに気づけなかった自分を悔しがった。